4月18日NEO時代劇「HAKANA」初日

marongmerong2008-04-20

娘。のミュージカル以来、5年ぶりかで明治座にやってきました。なにしに来たかといえば美貴の舞台「HAKANA」の初日ですね。

で冷静に考えたんですけど、美貴は娘。ミューの舞台に立ったことはあっても、こんなに大きい箱のちゃんとしたお芝居に立つのは、もちろん初めて。しかもどうやら主演です。
だいたいがヘッドセットつけずに舞台に立った事なんてあるわけありません。どうなるんでしょう。

美貴の役名は儚。はかない夢の儚です。
物語は時代劇ですね。事実上の主役の大口兼吾さん演じる鈴次郎。彼は母親殺しの本当のろくでなしです。ただ、なぜろくでなしになったのかといえば母親に愛されなかったからなんですが。
でも世の中捨てたものでもなく、この鈴次郎、ばくちだけは負け知らずです。このあたりはストーリーがダークファンタジーっぽいところなんですが、舞台の狂言回しは鬼。そしてHG演じる賽の河原の渡し船を操る鬼も重要なキャラクターになっています。

鈴次郎が負け知らずなのはどうやらばくちの神様が傍らについているようです。そんな不敗の鈴次郎に勝負を挑んだのは鬼。しかし鬼が賭けたものは女。それが儚です。
この儚、鬼が死体を集めてつくりあげた見た目はいい女なんですね。儚登場の場面がオールヌードに見えるボディスーツとライティング。そこはちょっと話題になりましたね。
で物語ですが、その儚には知恵と心がない。中身は生まれたばかり、つまり赤ん坊だからやむを得ません。
で鈴次郎は勝負に勝つ。でもすぐに儚を抱くことはできません。
儚を100日間、子供を育てるように育て上げる。それ以前に女として抱いてしまうと儚は水になってしまう。はかない夢ってわけですね。

それで鈴次郎はろくでなしはろくでなしなりに儚を愛し、育てる。
そのあたりは猥褻だったり、下品だったりを体当たりで美貴が演じたと評価されたところですね。
ただ美貴は元々、下品な女とはいいませんが呆れた潔さと、開き直りが魅力の娘です。
儚っていう役は不思議と美貴とギャップがない。ずっと美貴を見続けてきた私なりの勝手な感想ですが。

そしてばくちの神様の力を得られなくなった鈴次郎は儚を賭けて勝負してしまう。
負けた儚は女郎になって、それでも100日間は男に抱かれるわけにはいかないので、抱かせずにいかせる超花魁になるわけです。いかせるって男をいかせるいかせるね。

100日間抱かれたくない理由は水になりたくないからではありません。儚は鈴次郎を愛し、彼との暮らしを送れることを夢見ていたからです。

そして99日目にどうしても儚を抱きたい殿様が、彼女を城に連れて行ってしまう。儚は「せめて夜明けまで抱かないで欲しい」と懇願します。鈴次郎への愛は自分を育ててくれた親への愛でもあり、愛する男への愛でもあるんですよ。
「この演技に泣けた」っていう声が多かったですけれど、私は台詞の聞き取りにくさが気になりました。儚の想いも半減です。

一方、鈴次郎は儚を救いたい気持ちから鬼とばくちの勝負をする。負ければ鈴次郎は鬼に生まれ変わってしまうという自分を賭けた勝負です。

物語は決してハッピーエンドではありません。
しかしモー娘。を解任されて、今ひとつの評価だった“GAM”以外にほとんど人前に出てこなかった藤本美貴に与えられたこの機会は恵まれすぎていると思います。
少なくても、今後芝居を演じることがあれば、台詞回しはうまくなっているでしょう。
今回は泣き声は割れてよく聞き取れない、全体を通して滑舌の悪さはつっこめる芝居でした。次は一歩でも成長してくれなければ、あの美貴様ではありませんよ。
千秋楽も行ってきます。美貴の演じる儚の不思議な純愛に泣けることを夢見て。